【この業務は要注意!】理学療法士に起こりやすいケガ・健康問題と対応策

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セラピストの部屋

 みなさんは、あと何年くらい理学療法士として働こうと考えていますか?

 理学療法士は、患者の身体機能の維持・回復を支援する専門職ですが、その業務は非常にやりがいがある一方で、肉体的・精神的な負担が大きく、ケガや健康問題が生じるリスクを伴います。

 また、理学療法士自身も年齢を重ねていくことで、そのリスクと真に向き合うタイミングが多くなることが予測されます。

 本記事では、私が理学療法士として20年以上働いて感じたケガや健康問題を誘発する業務と、それらを予防するための対策を提案します。

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理学療法士に起こりやすい”ケガ”

筋肉疲労

 理学療法士は、患者のリハビリをサポートするために、繰り返し体を動かすことが求められます。

 その結果、特定の筋肉が過度に使用され、筋肉疲労が蓄積しやすくなります。

 特に、腰・肩・腕の筋肉は、患者の介助や持ち上げ動作によって負荷がかかりやすく、慢性的な疲労を抱えることがあります。

 ご存じのとおり筋肉疲労は、筋肉内のエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)の枯渇、乳酸の蓄積、血流不足などが原因で発生します。これにより、筋力の低下や動作のパフォーマンスが落ちることがあり、放置すると痛みや炎症につながる可能性があります。

【筋肉疲労を誘発する業務】ワースト3
  • 後方介助歩行練習
  • 全~重度介助の移乗動作
  • 全~重度介助の起立・立位保持練習
うっしー
うっしー

全介助~重度介助の「起立」「立位」「移乗動作」は”力仕事”ってイメージがあったけど、KAFO装着レベルの後方介助歩行はその非じゃないね。

腰痛

 理学療法士は、患者の身体を支える、持ち上げる、移動を補助するなどの動作を頻繁に行うため、腰に大きな負担がかかり腰痛が発生しやすいと考えられます。

 特に、適切な姿勢を保たずに業務を続けると、慢性的な腰痛に悩まされる可能性があります。

 理学療法士の職業性腰痛に関する調査研究によると、理学療法士の腰痛既往率は78%と報告されています。また、過去2年以内に業務に支障をきたすほどの筋骨格系症状を経験した理学療法士のうち、腰痛を抱えていた割合は69%だったとされています。

 急性期・回復期理学療法士における腰痛の実態調査と今後の課題によると、急性期・回復期病棟で勤務する理学療法士を対象とした調査では、60%以上が就労後に腰痛を経験していたとの結果もあります。

【腰痛を誘発する業務】ワースト3
  • 後方介助歩行練習
  • 全~重度介助の移乗動作
  • 介助でのベッド上体位移動
うっしー
うっしー

KAFOレベルの後方介助歩行・・・PTの腰を破壊します。患者の身体機能とPT人生を加味して実施プログラムを選択すべき。ステップ練習でも十分です。

ベッド上の体位移動も腰への負担大!無理せずスタッフを召喚するべし!

捻挫・打撲

 患者の移動を補助する際などに、予期せぬ動きや転倒が発生することがあり、理学療法士自身が捻挫や打撲を負うリスクがあります。

 また、上記で紹介した、筋肉疲労や腰痛を患う事で介助のパフォーマンスが低下し、捻挫や打撲をするリスクも高まります。

【捻挫・打撲を誘発する業務】ワースト3
  • 後方介助歩行練習
  • 全~重度介助の移乗動作
  • リハビリ室内・病院内での移動(周辺物品への接触)
うっしー
うっしー

”アンチ後方介助歩行”みたいになってるけど、ホントにPTの体に重度の負担がかかっています。

多忙だと急いで移動するから、リハビリ室内でも平行棒や治療機器にぶつからないように注意してね!

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理学療法士に起こりやすい”健康問題”

精神的ストレス

 患者の回復が思うように進まない場合や、患者やその家族とのコミュニケーションが難しい場合、精神的なストレスが蓄積することがあります。

 また、担当患者が多くなり「時間管理」や「治療の優先順位付け」が難しくなることもストレスの原因となります。

 さらに、若いセラピストほど、患者・家族に関する業務よりも、医師や看護師・先輩セラピストとのコミュニケーションの方がストレスを感じるという意見が多く聞かれます。

【精神的ストレスを誘発する業務】ワースト3
  • 医師へのヨイショ!
  • 先輩PTの視線・指導(症例発表を含む)
  • 看護業務の手伝い強制
うっしー
うっしー

医師とのコミュニケーションは永遠の課題ですね。20年前に比べれば、横柄な態度・気分屋の医師はずいぶん減ったと感じていますが、今でもそういった医師は存在しているのも事実です。

先輩については、治療や症例発表の時の指摘・指導に対してストレスが生じるのは致し方ない部分もありますが、言い方がトゲトゲしいのはNGですね。

自分(看護師)の仕事を楽にしようとする目的で、「リハビリでおむつ交換しないいの?」など言ってくる人が少なからずいる事実。ケアはリハビリではありません。

長時間労働による疲労

 理学療法士は、病院や介護施設での勤務が多く、長時間労働が求められることがあります。特に、患者数が多い場合やスタッフが不足している場合、休憩が取れず疲労が蓄積することがあります。

【長時間労働の原因となる業務】ワースト3
  • 単位ノルマ
  • サマリーや計画書などの書類業務
  • 散在された業務を放置する職場環境
うっしー
うっしー

「18単位/日」などの単位ノルマ。病院の運営基盤構築に売上は必要ですが、非効率な間接業務・散在された業務を放置する職場環境で、課される単位ノルマが適切であるところは少ないのでは??

多くの職員が自分の労働力と時間を安売りしている。

「誰かが何とかしてるから、何とかなっている」だけ。

感染症リスク

 患者との密接な接触が多いため、感染症にかかるリスクがあります。特に、インフルエンザや風邪などの季節性疾患に対する注意が必要です。

【感染リスクとなりやすい業務】ワースト3
  • コロナやインフルエンザなど感染部屋でのリハビリ
  • トイレ動作練習などノロやCDトキシンによる排泄物からの感染
  • 適切にマスクを着用しない・できない患者のリハビリ
うっしー
うっしー

”スタンダードプリコーション”は必ずマスターしよう!

患者さんのマスクの着用状態にも気を付けて。耳が遠い人ほど、話をしているうちにマスクをずらして話し出すことが多い。「聞こえてるから大丈夫だよ~」と言ってあげよう。

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ケガや健康問題を予防するための対策

正しい姿勢と動作の習得

 腰痛や筋肉疲労を予防するためには、正しい姿勢と動作を習得することが重要です。例えば、患者を持ち上げる際には膝を曲げて腰を守る動作を心がけるべきです。

正しいボディメカニクス

  1. 適切な姿勢を保つ
    • 背筋を伸ばし、骨盤をニュートラルポジションに保つ。
    • 重いものを持つ際は、腰でなく脚の力を使う。
  2. 患者移動時の注意点
    • 握りやすい位置で安定させ、なるべく近くで動かす。
    • 同僚に協力を求め、無理をしない。
  3. 身体の中心(コア)を活用する
    • 腹部の筋肉を意識しながら動作する。
    • 急激なひねりや不安定な動きを避ける。
  4. 頻繁に体位を変える
    • 長時間同じ姿勢をとらず、適度にストレッチ。

定期的なストレッチと運動

 筋肉疲労を軽減するためには、定期的なストレッチや運動を行い、筋肉の柔軟性を保つことが効果的です。

ストレス管理

 精神的ストレスを軽減するためには、適切な休息を取り、趣味やリラクゼーションを取り入れることが重要です。また、同僚や上司とのコミュニケーションを通じて悩みを共有することも有効です。

ストレス管理法

  1. 計画的なスケジュール管理
    • 時間に余裕を持ったスケジュールで作業量を調整する。
    • 自分の限界を知り、休息時間をしっかり確保。
  2. リラクゼーション技法
    • 深呼吸法や瞑想、ヨガなどを取り入れる。
    • 1日の終わりにリフレクションする時間を設ける。
  3. 適切なサポートを受ける
    • 同僚や家族、専門家と悩みを共有する。
    • 必要に応じて、カウンセリングサービスを利用。
  4. 趣味や楽しみを増やす
    • 仕事外でのリフレッシュ活動(音楽、運動、アートなど)に没頭。

労働環境の改善

 長時間労働を防ぐためには、勤務時間の調整やスタッフの増員を検討する必要があります。職場全体で労働環境を改善する取り組みが求められます。

散在する業務を放置する職場、業務効率化 内部リンク

感染症対策

 感染症リスクを軽減するためには、手洗いや消毒を徹底し、適切な防護具を使用することが重要です。また、体調が悪い場合は無理をせず休むことも大切です。

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まとめ

 理学療法士は、患者の健康を支える重要な役割を担っていますが、その業務にはケガや健康問題のリスクが伴います。

 これらのリスクを軽減するためには、適切な予防策を講じることが不可欠です。

 理学療法士自身の健康を守ることは、患者への質の高いケアを提供するためにも重要です。

 この記事が理学療法士として働く方々の参考になれば幸いです。

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