

この記事は「Redcord Basic course/Nurac1」を受講し、臨床で Redcord を用いてリハビリを行っている理学療法士が執筆しています。
みなさんは Redcord(レッドコード) をご存じでしょうか?
Redcord は、ノルウェー発の Sling Exercise Therapy(SET)で、天井から吊るした赤いロープを使って行うリハビリ・トレーニングシステムです。
私の勤務する病院にも複数台の Redcord が設置されており、日々の診療で活用しています。
非常に便利で効果的なツールですが、リハビリで安全に使用するためには基礎知識と適切な使用方法が欠かせません。
毎年、新入職員へ Redcord の基礎と使い方を指導していますが、いざ臨床で使おうとすると「どこをどう調整するんだっけ?」と迷ってしまう場面も少なくありません。
そこで今回は、Redcord の基礎知識と使用方法を、いつでも確認できるように“新人向けのまとめ”として整理しました。
- Sling Exercise Therapy(SET)の概要
- Redcord の特徴
- Redcord のセット内容
- Redcord の基本的な使い方
Sling Exercise Therapy(SET)とは
Sling Exercise Therapy(SET)は、免荷・不安定性・運動軌跡のコントロールを利用して、神経筋制御と運動学習を促すリハビリテーション手法です。
臨床では、筋骨格系疾患から高齢者リハ、小児、アスリートまで幅広く利用されており、「第3の手」としてセラピストのリハビリを補助する点が特徴です。
Redcord の特徴
選択的運動(OKC/CKCの切り替え)
Redcord は設定を変えるだけで、開放運動連鎖(OKC)/閉鎖運動連鎖(CKC)を自在に切り替えることができます。
疼痛や恐怖心のある患者でも、適切な支持により安全に運動を行うことができます。
運動軌跡による収縮様式の変化
Hanging Point(HP)とSling Point(SP)の位置と軌跡の形状によって、関節への圧力や筋の収縮様式、負荷が変化します。
(図解は股関節外転を例に作成しています。)
Axial suspension(水平軌跡)
- 重力の影響が少ない。
- 関節を圧迫

Cranial suspension(上凸軌跡)
- 運動開始時は自重で補助、戻りは抵抗
- 関節を圧迫

Caudal suspension(下凸軌跡)
- 運動開始時は自重が抵抗、戻りは補助
- 関節を牽引

Lateral suspension(斜め軌跡)
- SPから開始肢位へ戻る時に抵抗

Medial suspension(斜め軌跡)
- SPから開始肢位へ戻る時に補助

Neutral suspension
- 関節を圧迫も牽引もしない

Redcord における運動軌跡の理解は、「どの筋に、どの収縮様式を、どの程度求めるか」を設計するうえで重要になります。
漸増負荷の調整
Redcord では、以下の要素を組み合わせて負荷を連続的に調整できます。
- HP の位置
- スリングの長さ
- 不安定性の度合い
- てこの長さ
- 運動方向
- 追加重量
段階的負荷設定が容易であるため、術後・急性期からアスリートまで幅広い適応を可能にしています。
「第3の手」としての役割
Redcord に免荷・支持・誘導を任せることで、セラピストは必要なハンドリングに集中できます。
特に、体幹や近位部の制御が弱い患者に対して有効となり、セラピスト自身の負担も軽減することができます。
Redcord の適応範囲
Redcord は特定の疾患に限定されず、運動学習・神経筋制御が必要な場面全般に適応します。
- 小児リハビリテーション
- 支持性の確保、遊び要素、恐怖心の軽減
- 高齢者リハ・介護予防
- 安全な立位・歩行練習、転倒予防
- 筋骨格系疾患
- 疼痛回避と運動パターン再学習
- アスリート
- 体幹安定性、連動性、パフォーマンス向上
- 健康増進・労災
- 目的にあわせた段階的な負荷設定
Redcord で可能なリハビリテーション
Redcord は、免荷・不安定性・軌跡の組み合わせにより、ほぼすべての運動療法をカバーできます。
- リラクセーション
- 関節可動域運動
- ストレッチング
- 牽引
- 筋力強化
- 持久性トレーニング
- マニュアルセラピーの補助
- バランス練習
- 漸増負荷運動
特に、疼痛を伴う患者でも安全にリハビリを開始できる点は、臨床的価値が高いと感じています。
Redcord セット内容
Redcord を安全かつ効果的に使いこなすためには、まず「どの器具が、どんな役割を持っているのか」を理解することが欠かせません。
Redcord のメディカルプロセットには、免荷量の調整、不安定性の付与、運動軌跡の設定など、治療設計に直結する重要なパーツが含まれています。
新人スタッフが最初につまずきやすいポイントでもあるため、ここでは各パーツの役割と臨床での使いどころをわかりやすく整理していきます。
スライドフレーム/Redcord 本体

支点(HP/SP)を調整し、運動軌跡を決定する基盤です。
ロープ類(30cm・60cm・弾力ロープ・5mロープ)


スリングを追加し、免荷量・不安定性・負荷を調整するために使用します。

Redcord 本体ではスリングの数が足りない時に、補助スリングとして使用します。
スリング(分割/狭い/広い)

使用する身体部位に応じて、各種スリングを選択します。
一般的な使用部位は次のとおりです。
- 分割スリング:頭部
- 狭いスリング:四肢
- 広いスリング:体幹
上記の他、四肢に対し”広いスリングで安定性を高める”など、目的にあわせて使い分けることが大切です。
ロープリリース/ロープクリップ

- ロープリリース
- Redcord のロックを外し、フリーの状態を保ちます。
- 主に、プーリー(滑車運動)の際に使用します。
- ロープクリップ
- Redcord のスリングと補助ロープをまとめる際に使用します。
バランスクッション/プラクティスボード

- バランスクッション
- 体幹・バランス練習のリハビリで、不安定性を追加する際に使用します。

- プラクティスボード
- 立位での前腕支持や座位バランス練習の際に使用します。
これらを組み合わせることで、支持・負荷調整・運動軌跡を機械に担わせることが可能になります。
Redcord の使い方
スライドフレーム
スライドフレームにはストッパーがついており、上がった状態でストッパーが「ON」、下がった状態でストッパーが「OFF」になります。

Redcord 本体
スリング長を調整するときは、調整側のロープを Redcord 本体の隙間が空いている方へ引いてロックを外し、スリング側のロープを下に引き下ろします。


リハビリ中はロープのロックが外れないように、調整側のロープは反対側へ移動させておきましょう。

補助ロープ
Redcord で補助ロープを使用する際は、上下を間違えないように注意しましょう。
上下を逆にしてしまうと、患者の身体が落下してしまう可能性があります。


ロープリリース
ロープリリースは Redcord 本体へ取り付けることで、ロープをフリーの状態で維持することができます。
ロープリリースの滑らかな面をロープ側へ向けて取り付けます。


ロープクリップ
ロープクリップは補助ロープをまとめる際に使用します。
補助ロープの型式が旧型(画像は新型)のものは、使用中に外れやすい構造であったため、ロープクリップが必須でした。
新型の補助ロープは外れにくい構造になっているため、臨床ではあまり使用していません。

また、正規の使用方法ではありませんが、スリングの淵を縛って固定することもできます。

よくあるミス・注意したいポイント
リハビリで Redcord を使用する時は、以下の点に注意しましょう。
- スライドフレームのストッパーを戻し忘れる
- 調整する側のロープの位置によりロックが外れる
- 補助ロープの上下を逆にする
- HP/SP位置が左右でずれる
- ロープリリースの向きを間違える
また、スリングに手を通すときは”狭い方”から入れるようにしましょう。

まとめ
Redcordは「免荷 × 不安定性 × 運動軌跡」という3つの要素を組み合わせることで、神経筋制御と運動学習を効率的に促すツールです。
また、利用者の目的や身体状況に応じて細かな設定が可能なため、臨床での適応範囲も広く効果が期待できます。
これらのメリットを十分に活かすため、Redcord の基礎知識と使い方はしっかりと押さえる必要があります。
Redcord には「国際 Nurac コース」というものもありますので、興味を持った方は受講を検討してみてはいかがでしょうか?
この記事が、診療の一助となれば幸いです。
スタビリティ研究会 研修会案内(2026年4月~)
日本ではスタビリティ研究会(Team Redcord)が各地でコースを開催しています。
研修会のご案内(2026年4月以降)
岩手県盛岡市で、「グループ基礎コース」と「Medical Basic Course」を開催。
京都と岩手で、レッドコードを使用する基礎知識のイブニングセミナー(腰痛による脳内変化と可逆性)を開催。
(イブニングセミナーでは、レッドコードは使用しません。)
岩手会場(東北8年ぶり開催)
- 【6月27日 グループ基礎コース】
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- レッドコードの基礎知識と操作
- 加齢変化の理解
- レッドコードでグループトレーニングするメリット4点
- グループトレーニングの適応と効果
- グループトレーニングの作成のポイントと実践
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- 【6月28日 Medical Basic Course】
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
- レッドコードの基礎知識と操作
- Passive to Active
- 運動制御に適したスタビリティの獲得
- レッドコードの8つの特徴
- 臨床実践 疼痛コントロールなどなど
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
- 【6月27日 イブニングセミナー:腰痛による脳内変化と可逆性】
- 腹横筋を収縮させる脳内マップ
- 交差性線維と非交差性線維による腹横筋収縮のズレ
- 腰痛を伴う人の先行性姿勢調整(APA)の変化
- 腹横筋によるHollowingからの漸増負荷トレーニング
- Hollowing によるAPAの可逆性
- 腰痛者と健常人の腹横筋の脳マップの違い
- 腰痛者に対するHollowing 練習による脳内マップの可逆性
- 体幹トレーニングのHollowing とBracing の違いと脳マップ
- 覚醒休息状態(Default Mode Network DMN)と腰痛の関係
- 不安やストレスによる痛みの発生の脳内ネットワーク
東京会場
- 【4月11日 個別機能訓練コース】
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- レッドコードの起源と研修体系
- レッドコードの操作とリスク
- レッドコードの特徴の簡略説明と実技
- レッドコードを用いた具体的個別機能訓練
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- 【4月12日 グループ基礎コース】
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- レッドコードの基礎知識と操作
- 加齢変化の理解
- レッドコードでグループトレーニングするメリット4点
- グループトレーニングの適応と効果
- グループトレーニングの作成のポイントと実践
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- 【5月10日 Medical Basic Course】
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
- レッドコードの基礎知識と操作
- Passive to Active
- 運動制御に適したスタビリティの獲得
- レッドコードの8つの特徴
- 臨床実践 疼痛コントロールなどなど
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
京都会場
- 【6月13日 グループ基礎コース】
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- レッドコードの基礎知識と操作
- 加齢変化の理解
- レッドコードでグループトレーニングするメリット4点
- グループトレーニングの適応と効果
- グループトレーニングの作成のポイントと実践
- どなたでも参加できます ペア割、セット割
- 【6月14日 Medical Basic Course】
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
- レッドコードの基礎知識と操作
- Passive to Active
- 運動制御に適したスタビリティの獲得
- レッドコードの8つの特徴
- 臨床実践 疼痛コントロールなどなど
- 本コースのみ継続のMedical Advanced Courseへの特別割引あり
- 【6月13日 イブニングセミナー:腰痛による脳内変化と可逆性】
- 腹横筋を収縮させる脳内マップ
- 交差性線維と非交差性線維による腹横筋収縮のズレ
- 腰痛を伴う人の先行性姿勢調整(APA)の変化
- 腹横筋によるHollowingからの漸増負荷トレーニング
- Hollowing によるAPAの可逆性
- 腰痛者と健常人の腹横筋の脳マップの違い
- 腰痛者に対するHollowing 練習による脳内マップの可逆性
- 体幹トレーニングのHollowing とBracing の違いと脳マップ
- 覚醒休息状態(Default Mode Network DMN)と腰痛の関係
- 不安やストレスによる痛みの発生の脳内ネットワーク


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