高齢者の転倒は骨折を伴うことも多く、そのまま寝たきりにつながる可能性もあり、転倒予防には運動をつづけることが大切です。
自分の体を知り、できる対策を行って、元気に生活できる”健康寿命”をのばしていきましょう。
高齢者の転倒リスク
高齢者の転倒は骨折の可能性が高く、とくに圧迫骨折や大腿骨頚部骨折はその代表例として知られています。転倒により骨折してしまうと、さらに転倒しやすい体となる可能性があり、転倒が転倒を呼ぶ悪循環となる場合もあります。
そんな状態に陥らないよう、転倒しないためにはどのようにしたらよいのでしょうか?まずは、転倒の原因について確認してみましょう。
転倒の原因
体の機能
- 足の筋力を主体とする「筋力低下」
- ふらつかない、またはふらついても踏みとどまることが難しくなる「バランス能力の低下」
- ふらつきに対して、足を踏み出して姿勢の立て直すことが難しくなる「足首の関節の硬さ」
- 視力や視野の低下により、段差などを認識しづらくなる「視力障害」
生活環境
- カーペットなどの敷物
- 電源コード類
- 段差
- 滑りやすい床
- 不十分な照明(薄暗さ)
その他
- 躓きやすい「重い靴」、足裏からの感覚が鈍い「靴底が厚い靴」
- めまいやふらつきの可能性がある「薬の副作用」
転倒予防のためにできること
転倒リスクのチェック
次に、自分の体や生活の状況を確認してみましょう。
下の質問に「はい/いいえ」で回答し、「はい」の数を数えてみてください。
転倒の危険度チェック
- つまずくことがある。
- 手すりにつかまらないと、階段の昇り降りができない。
- 歩く速度が遅くなってきた。
- 横断歩道を青信号のうちに渡りきることができない。
- 1キロメートルくらいを続けて歩くことができない。
- 片足で5秒くらい立っていることができない。
- 杖を使っている。
- タオルを固く絞ることができない。
- めまい、ふらつきがある。
- 背中が丸くなってきた。
- 膝が痛む。
- 目が見えにくい。
- 耳が聞こえにくい。
- 物忘れが気になる。
- 転ばないかと不安になる。
- 毎日くすりを5種類以上飲んでいる。
- 家の中で歩くとき暗く感じる。
- 廊下、居間、玄関によけて通る物が置いてある。
- 家の中に段差がある。
- 家で階段を使う。
- 生活上、家の近くの急な坂道を歩く必要がある。
いかがでしたか?
- 「過去1年で転んだことがある」に該当した方
- 1~21の質問中「はい」が10個以上あった方
は転倒のリスク(危険性)があります。
とくに、「過去1年で転んだことがある」に該当した方はその70%がその後1年間で転倒する危険性があると言われています。
転倒しにくい体づくり
加齢とともに低下する体の機能ですが、運動により軽減・改善させることは可能です。
転倒しにくい体にするためには、
- 足の筋力を保つ
- 身体の柔軟性を保つ
- 身体のバランスを保つ
ことが大切です。
日常生活のチェックポイント
転倒リスクを軽減するには、日常生活や環境の確認(振り返り)も重要です。杖など普段使用しているものが適切か、自宅内につまずきやすい環境がないかなど確認してみましょう。
- 住まいを転倒しにくい環境に整備する。
- めがね、履き物、杖など立って歩くための用具を適切に選ぶ。
- 適切な薬の服用に心がける。
転倒予防におすすめの運動
「転倒予防」のポイントは、”転びにくい体”をつくることです。そのためには、「身体のバランスを保つ」ことと「立つ・歩く時に必要な筋力を保つ」ことが重要です。
ここでは、「転倒予防」において特に効果的な”足の運動”を紹介していきます。
ふらついても大丈夫なように、”しっかりとした椅子の背もたれ”など安定したもので支えられるような環境で行いましょう。
また、不安のある方は家族に協力してもらいましょう。
筋力強化
ハーフスクワット
- 立った状態から、ゆっくりと両ひざを曲げ、ゆっくりとのばします。
※ 曲げる角度はできる範囲で大丈夫です。10回~20回からはじめてみましょう。
※ 膝に痛みがある時は無理をせず、痛みのない範囲で行いましょう。
太ももあげ
- 立った状態で、ゆっくりと片方の太ももをあげ、ゆっくりとおろします。
※ 左右10回~20回からはじめてみましょう。
かかとの上げ下げ
- 立った状態で、ゆっくりとかかとをあげ、ゆっくりとおろします。
※ ひざが曲がらないように注意して、10回~20回からはじめてみましょう。
バランスの運動
片足立ち練習
- つま先はついたまま、かかとを10cm程度あげて10秒保持することからはじめましょう。
ステップ練習
- 立った状態から片方の足を一歩踏み出し、もとに戻します。(反対の足も)
- 片方の足を外側へ一歩踏み出し、もとに戻します。(反対の足も)
四つ這いバランス練習
- 四つ這いで「片方の”手”」と「反対側の”足”」を同時にあげて5秒保持し、もとに戻します。
※ 手と足を同時に行う事が難しい方は、「手だけ/足だけ」で行いましょう。
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