はじめに

太平洋フェリー「きたかみ」で初めての船旅を体験してから1週間。
“移動そのものが旅”という贅沢な時間に魅了された私は、次なる船旅として太平洋フェリー「きそ」に乗船し、仙台〜名古屋間の船旅を楽しんできました。
「きそ」は、外観から窓の多さが印象的で、開放感のある空間が広がっています。乗船直後の印象は、ホテルのような高級感と温泉旅館のような安心感が融合した、心地よい空間でした。
本記事では、そんな「きそ」の船内設備や過ごし方を、写真とともに詳しくレビュー形式でご紹介します。
フェリー初心者の方、家族旅行を検討中の方、バリアフリー設備が気になる方にも、きっと参考になるはずです。
賑やかで楽しい『きそ』の船内エンタメ空間

まずは、乗船した瞬間から旅気分を盛り上げてくれる「きそ」の船内空間をご紹介します。
「きそ」は「きたかみ」よりも約230名多く乗船可能で、船内の移動エリアも広々としています。船内は5〜7デッキにわたって設備が配置されており、屋外デッキも含めて開放感があります。

船内はバリアフリー設備が整っていました。

障害のある方も、安心して利用できるね!
船内にはキッズルーム、シアター、カラオケ、ゲームコーナーなど娯楽設備が充実しており、まるで”海上のアミューズメントパーク”。長時間の船旅でも飽きることなく過ごせます。
食事はレストランだけでなく、軽食コーナーもあり、お腹とお財布事情に合わせて選べるのが嬉しいポイント。
ショップコーナーではオリジナルグッズや日用品を販売しており、太平洋フェリーの中で唯一、酔い止め(大人用/子供用)も取り扱っています。

「きそ」にはランドリールームが無いから、洗濯の予定がある人は乗船前に済ませてくださいね。
「きそ」の船内設備は、娯楽・食事・買い物まで幅広く対応しており、船旅初心者でも安心で快適な空間になっていました。
実際に利用した『きそ』の客室レビュー
今回の船旅では障害者手帳の割引で”S寝台”を利用しました。S寝台を選んだ理由は以下のとおりです。
- 障害者手帳の割引が適応されるグレードであること。
- 初めてフェリーに乗った「きたかみ」のエコノミーシングルと同程度のグレードであり、違いを体感したかった。

複数のS寝台が集合した部屋があり、各自指定された番号のS寝台を利用します。(この部屋の中にトイレはありません。)

S寝台の入り口です。寝台の下には荷物を置くスペースがあります。寝具は枕と薄い掛け物。

中に入ると、TV(BS)とハンガーが用意されており、上部には棚があります。寝台の中では、身長175cmの私でも立つことができる高さがあります。

反対側には、コンセント付きの照明があり、TVのリモコンがマグネットで壁にくっついています。

”マグネットフック”と”ハンガー”を持参すれば、服をかける場所を増やすこともできるよ。

それはいい考えね!
冬の時期はコートなど服も多くなるし、他にもいろいろ応用できそうね。

そうだね!
それと、ティッシュは備え付けが無いから、1箱持っていくと便利だよ!

ロールカーテンの両側にはストッパーがついており、内鍵の役目も果たしています。
寝台を離れる際に、ロールカーテンを閉めておくことは可能ですが、鍵はかけられないので、貴重品は持参するかインフォメーション近くにある「貴重品ロッカー」を使用しましょう。

外鍵がないのは、女性としてはちょっと不安ね。

そうだよね。
でも、S寝台は”女性専用客室”も用意されているから、不安がある女性の方はそちらを選択するといいんじゃないかな。

それは安心ね。
私は、ぜひ女性専用客室を利用したいわ。
S寝台(きそ) VS エコノミーシングル(きたかみ)
実際に、S寝台と同グレードの客室である「きたかみ」のエコノミーシングル利用してみての総合評価は、「きたかみ」のエコノミーシングルに軍配があがりました。
S寝台 | エコノミーシングル | |
---|---|---|
料金 | 〇 | △ |
広さ | △ | 〇 |
設備 | △ | 〇 |
セキュリティ | △ | 〇 |
「きたかみ」のエコノミーシングルについての詳細レビューはこちら
『きそ』のレストラン&軽食レビュー|船内で楽しむ食事とくつろぎ時間
続いては、「きそ」のお食事処について紹介します。
「きそ」には、レストラン「タヒチ」と軽食が食べられる「マーメイドクラブ」の2か所があり、乗船客の都合に合わせて選択することが可能です。

「きたかみ」はレストランだけだったから、お腹やお財布事情にあわせて選択できるのはうれしいわね。

それと、「きそ」のレストラン「タヒチ」では、「きたかみ」では味わえない”ランチ”もやっているから、ぜひチェックしてみてください。
レストラン「タヒチ」 レビュー
「きそ」のレストラン『タヒチ』では、モーニング・ランチ・ディナーの3食がビュッフェ形式で提供されており、船内での食事を楽しみたい方にぴったりです。
料金(2025年9月時点)は、モーニング・ランチが1,200円(小人:800円 乳幼児:無料)、ディナーが2,300円(小人:1200円 乳幼児:無料)です。
(「きたかみ」のレストランと、料金の違いはありませんでした。)
空腹は船酔いの原因にもなるため、無理のない範囲でしっかり食べることをおすすめします。

レストランをはじめ、船内での支払いのほとんどが”現金”なので準備を忘れずに!
モーニング
(※ 写真はあくまで私のチョイスであり、ビュッフェの料理の全てではありません。)


モーニングは、栄養バランスが取れた和食中心のバイキングです。
メニューは、「焼き魚」「大根おろし」「だし巻き卵」「ウィンナー」「紅ショウガさつま揚げ」「ポテト」「シュウマイ」「のり」「焼うどん」「サラダ」「ごはん」「みそ汁」
ランチ
(※ 写真はあくまで私のチョイスであり、ビュッフェの料理の全てではありません。)


ランチのメニューは”4種のカレーバイキング”
「カレー:”キーマ”、”野菜ゴロゴロ”、”ポーク”、”黒カレー”」「ヒレカツ」「タンドリーチキン」「かぼちゃとポテト」「ナン」「サラダ」「きしめん」「ごはん」

カレーが4種類もあったら、ついつい食べ比べたくなるわね。
ナンもあって、本格的なカレーランチね!

そうだね!
この後、ヒレカツ・かぼちゃ・ポテトとポークカレーをおかわりして、カレーフォンデュして頂きました~。

めっちゃ食ったなっ!(笑)
ディナーがそうなったのも納得だわ。

ということで、次はディナーの紹介です。
ディナー
ランチであれだけ食べたので、ディナーの時間になっても、あまりお腹が空きませんでした。
また、ディナーの内容も「きたかみ」と同じだったため、「きそ」ではディナーを利用しませんでした。
ディナーの詳細が気になる方は、こちらのレビューをご覧ください。
軽食「マーメイドクラブ」 レビュー

ランチのカレーバイキングで食べすぎ、あまりお腹が空いてなかったので、夕飯は「マーメイドクラブ」で頂くことにしました。

メニューもいろいろあったのですが、夕飯は「山菜そば」と「ミニサラダ」にしました。
あわせて750円と、お腹にもお財布にもちょうどいい夕飯でした。

ちなみに、「マーメイドクラブ」の一押しは”賄いカレー”
私はランチでカレーをたくさん頂いてしまったので、「賄いカレー」は食べなかったのですが、”レストランでは量が多すぎる”、”ランチ食べてもおやつでイケる!”という人はぜひ食べてみてください。

その他、「マーメイドクラブ」にはアルコールやおつまみまで用意されています。

大浴場で入浴した後、海を眺めながらお酒なんて最高ね!

最高のくつろぎと非日常を味わえたよ!
シアター・カラオケ・ゲームコーナー|『きそ』の娯楽設備を紹介
『きそ』には、映画・音楽・ゲームが楽しめる娯楽設備が充実しており、長時間の船旅でも退屈せずに過ごせます。
船内で実際に利用した設備を、写真と感想を交えてご紹介します。
- 映画やショーがの他閉める「シアターラウンジ ”サザンクロス”」
- みんなで盛り上がれる「”カラオケスタジオQ”」
- 子どもから大人まで楽しめる「ゲームコーナー」
シアターラウンジ「サザンクロス」
「きそ」の6階には、映画上映やラウンジショーを行っているシアターラウンジ「サザンクロス」があります。

「高速道路家族」
「トランスフォーマー」
乗船した時は「高速道路家族」と「トランスフォーマー」が上映されていました。

シアターの中は、広々としており2人掛けのソファーにテーブルがついています。
段差が段差がなく、車いすの方も安心して利用できます。

夜にはラウンジショーがあり、当日は”ピアニスト”と”ギタリスト”の2名による演奏でした。

映画もラウンジショーも無料で楽しめます!
「カラオケスタジオQ」
カラオケスタジオQは、1時間1,100円(1室)で歌い放題となっており、人数が多いほど割安で利用できます。(料金は2025年9月時点のものです。)
利用時間は、23時までとなっています。


みんなで一緒に歌って、盛り上がれるのがいいわね!
”うっしー”は一人カラオケしたの??

さすがに、フェリーで一人カラオケはできませんでした。
ゲームコーナー
「きそ」のゲームコーナーは、24時間利用可能となっています。

実際に設置してあるゲーム機のラインナップは、公式サイトのものと少し違っていました。

ゲームコーナーの入り口です。
公式サイトの写真ではレトロゲームが並んでいたのですが、UFOキャッチャーになっていました。

個人的にはレトロゲームに惹かれていたのですが、今の時代あまり需要が無いのかもしれませんね・・・残念。

正面に見えるのは「記念メダル」を購入できる機械です。

昭和世代には懐かしい、平成・令和生まれにはもの珍しい、「記念メダルのキーホルダー」です。
ゴールド・シルバーのメダル(600円)と、それをはめ込むキーホルダー(300円)が販売されています。

購入したメダルに「名前」と「日付」を入れられる機械があるのですが、レトロ感満載の”ブラウン管モニター”でした。

ゲームコーナーの奥に進むと、パチンコ・スロット、UFOキャッチャーが多数並んでいました。
フェリーのエンジンの振動なのか、自然に落ちるのでは?と思えるくらいUFOキャッチャーのガラスが”ガタガタガタガタ”と音を立てていました。

公式サイトの写真でレーシングゲームが設置してあった場所には、次世代型レーシングゲームが!?・・・と思いきや、マッサージチェアになってました。
誰でも快適に過ごせる『きそ』のバリアフリー対応
「船旅って、車いすでも大丈夫?」
「階段ばかりだったら不安…」
そんな声に応えるように、「きそ」ではさまざまなバリアフリー対応が施されています。

廊下や階段にはしっかりと手すりが設置されています。


階段は、段差が少し高め、かつ奥行きが狭いため、”足腰に不安がある方”や”高齢の方”はエレベーターも検討してみてくださいね。

階段の1段目と2段目以降で高さが違うので、利用する時は注意しないとね。
とくに、目の不自由な方は、2段目で躓かないように気を付けてほしいわ。

屋外デッキの出入口には、車いすの方でもスムーズに移動できるようにスロープが設置されています。

屋外デッキの出入口は、いくつかありますが、全ての出入口にスロープが設置されているわけではないので、あらかじめ船内マップで確認することをオススメします。

多目的化粧室の様子です。トイレにはしっかりと両側に手すりが設置されています。

洗面台も車いすで利用できる適切な高さに設定されており、鏡も座った状態で適切に使用できるよう角度が調整されています。

洗面台の隣には大きな棚があって、手洗いや同室内にあるシャワールームを利用するときに便利ね。

多目的化粧室のシャワーエリアになります。
手すりはもちろん、シャワーチェアも完備されており、安心して利用できます。
屋外デッキの眺望レビュー|船上から見える絶景と名港トリトン
「きそ」の屋外デッキからは、どこまでも広がる大海原などの絶景を楽しむことができます。

晴天の午後、青空と海が溶け合うようなグラデーションが広がり、まるで空と海の境界が消えたような感覚です。

仙台港を就航してから数時間後、名古屋港から仙台港を目指す太平洋フェリー「いしかり」とすれ違うタイミングがあります。

船体同士がすれ違う瞬間は、まるで“海上の挨拶”。
デッキから手を振る乗客の姿も見られ、ちょっとした感動がありました。

すれ違う瞬間って、なんだか“船旅仲間”って感じがしていいわね!

早朝のデッキからは、神々しい日の出を見ることができました。

海面に移る朝日は、まるで「黄金の軌跡」ね!

名古屋港へ入港する際は、「名港トリトン」という橋の下を通ります。
【名港トリトンとは?】
正式には、名港東大橋・名港中央大橋・名港西大橋の3橋で構成されています。
伊勢湾岸自動車道の一部で、名古屋港の埋立地を東西に横断しています。
主塔の色はそれぞれ「青・白・赤」のトリコロールカラーで、視覚的にも印象的です。
(名港東大橋:青 名港中央大橋:白 名港西大橋:赤)

フェリーで橋の下を通過する光景は、まさに「海上のゲート」をくぐるような体験です。

橋の裏側ってこんなに迫力あるんだね。
思わず見上げちゃったよ!

海の上から橋をくぐるなんて、テンション上がるわねっ!
まとめ|『きそ』で味わう、移動を超えた船旅体
太平洋フェリー「きそ」での船旅は、ただの移動手段ではなく“宿泊・食事・娯楽・絶景”がすべて詰まった、まさに「海上のリゾート」でした。
客室の快適さ、食事の選択肢、娯楽設備の充実ぶり、そしてバリアフリー対応まで、どれもが丁寧に設計されていて、初めての船旅でも安心して楽しめる空間でした。

船旅って、こんなに自由で楽しいんだね。
次は「いしかり」にも乗ってみたいな〜!

ほんとね!移動が“旅そのもの”になるなんて、もっと早く知りたかったわ。
「きそ」は、フェリー初心者の方、障害のある方、家族旅行を検討中の方にもおすすめできる一隻です。
非日常の時間を、ぜひあなたも体験してみてください。
コメント