救急カートの中身は病院内で統一され、患者さんの急変時に”すぐに使える状態”である必要があります。
そんため、各所に配置してある全ての救急カートは毎日のチェックが欠かせません。救急カートのチェックは「薬剤・物品の定数管理や配置」「喉頭鏡やAEDのバッテリー・酸素ボンベの残量」に加え、「薬剤・物品の使用期限」まで確認する必要があります。
しかし、この「薬剤・物品の使用期限」は薬剤や物品によって記載方法・記載場所が異なり、とても小さい文字で書かれていることが多くあります。
また、使用期限は数年のものから数ヶ月のものまで幅広く、同じ物品であっても使用期限が違うこともしばしばありました。(もちろん揃えるべきですが。)
そこで、多忙な業務の中でどうしたら使用期限の管理を確実、かつ効率的に行うことができるか考え、エクセルを使っての自動チェック方法を考案しました。
今回は、私が実践しているエクセルで「使用期限を自動でチェックする方法」について紹介していきます。
「使用期限を自動でチェック」する時の使用感
「使用期限を自動でチェック」するといっても、なかなかイメージがつかない方もいるかと思います。
ますは、私が普段使用している”リハビリ支援・管理ツール”に「使用期限を自動でチェック」する機能を組み込んだデータを例に、使用期限の自動チェックの使用感を紹介します。
この”リハビリ支援・管理ツール”は、担当患者や代行診療における申し送り先の管理など、業務の見える化やマネジメントを行うための業務効率化ツールです。
「使用期限を自動でチェック」するためのエクセルデータは、業務でよく使用するデータ(1日1回以上は開くデータ)へ組み込むことをおすすめします。
毎日使用しているデータへ組み込む事で、新たな手間を増やことなく、通知の見落としを防止できます。
救急カートの物品管理表を作成
ここからは、使用期限を自動でチェックするためのデータ作成について解説していきます。
使用期限を自動でチェックする設定方法
次に、作成した「救急カートの物品管理表」に使用期限を自動でチェックする”数式の入力”と”書式設定”を行っていきます。
使用期限を自動でチェックする数式の設定
数式を入力するセルはどこでも問題ありませんが、今回は「G1セル」に入力していきます。
G1セルに、COUNTIF関数を使用し「使用期限が入力してある範囲の中で今日の日付+30日より前の日付の数を数えて」という数式を入力します。
これを数式にすると
=COUNTIF(E2:G77,“<“&TODAY()+30)
となります。
作成した「救急カートの物品管理表」によって、使用期限が入力してある範囲は違うと思いますので、例であげた数式の「E2:G77」の部分を使用期限が入力してある範囲と一致するようにします。
また、「30」を任意の数字に変更すれば、使用期限より「入力した数字の日数前」にする事ができます。
これで、使用期限が間近(設定した日数前)になっている薬剤・物品の数を表示するようになります。
使用期限が間近のセルに背景色を設定
次に、”条件付き書式”を用いて、「救急カートの物品管理表」の使用期限が間近になっている物品の日付部分に、自動で背景色をつける設定を行っていきます。
使用期限が入力してあるセルをドラッグしてすべて選択します。
「ホームタブ」の「条件付き書式」をクリックし、「新しいルール」を選択します。
- 「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択
- 「次の数式を満たす場合に書式設定(O):」の下入力欄へ「=IF(E2=””,””,E2<TODAY()-30)」と入力。
- 「書式(E)…」を選択し、「塗りつぶし」から任意の色(例では黄色)を選択しOKをクリック。
- 書式のルールの編集ダイアログボックスのOKをクリック。
これで、「使用期限が間近になっている物品の日付部分」に選択した背景色が自動ではいるようになります。
使用期限の自動通知設定
最後に「使用期限の自動通知設定」を行っていきます。
この設定には「開発タブ」の「Visual Basic」を使用しますが、デフォルトでは表示されていません。「開発タブ」を表示するには「ファイルタブ」のオプションから開発タブを追加する必要があります。
はじめに、「開発タブ」から「Visual Basic」を選択し、BVE(Visual Basic Editor)を開きます。
VBEの左側にある「Thisworkbook」をダブルクリックしてエディターを開き、下のコードをコピーして貼り付けます。
Private Sub workbook_open()
If Worksheets(“救急カートの物品管理表”).Range(“G1”).Value >= 1 Then
MsgBox “物品または薬品に使用期限間近のものがあります。”, vbOKOnly + vbExclamation, “【救急カートの使用期限】”
End If
End Sub
「使用期限を自動でチェックする数式」を入力したセルが「G1セル」でない場合、コードの「If Worksheets(“救急カートの物品管理表”).Range(“G1”).Value >= 1 Then」の「Range(“G1“)」を「Range(“使用期限を自動でチェックする数式を入力した「セル番地」“)」に変更してください。
上の図のようになったことを確認したら、右上の「×」を押してエディターを閉じ、エクセルデータを上書き保存して完成になります。
これで、エクセルデータを開いたときに使用期限が30日前(設定した日付)の物品がある時に、自動的にメッセージが表示されるようになります。
まとめ
救急カートは人命に関わる非常に大切なツールですが、多忙な業務の中で「薬剤・物品の個数、配置場所の確認」「電池・酸素の残量」に加え、確認しづらく忘れがちな「使用期限」の管理を確実に行うのは簡単ではありません。
身近にあるものを最大限活用し、確実性と効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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