【生活習慣病を予防!】フレイルのセルフチェックとおすすめ運動5選

患者さんの部屋

 今回は、健康寿命を脅かす「生活習慣病の予防」と「フレイルのセルフチェック」、その対策として「おすすめの運動」を5つ紹介していきたいと思います。

 体は乗り換えのできない車に例えることができます。より長く、より良い状態で人生という道を走り(歩き)続けられるように、是非ご一読下さい。

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生活習慣病やフレイルが影響を及ぼす”健康寿命”について

 みなさんは、「健康寿命」という言葉を聞いたことがありますか?

 健康寿命と似た言葉に、”平均寿命”があります。平均寿命は、0歳時点での平均余命であり、寝たきり状態など日常生活を一人で送ることができない期間も含まれています。日本の平均寿命は男性で世界第2位、女性で世界1位となっています(WHO:2023年版)。これは日本人として誇らしいことですよね。

 これに対し、健康寿命とは健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間です。生活習慣病やフレイルになることで、日常生活上の制限が生じる可能性が高くなっていきます。

平均寿命と健康寿命

 日本人の平均寿命と健康寿命は、以下のようになっています。

平均寿命と健康寿命
  • 【平均寿命】男性:80.98歳 女性:87.14歳
  • 【健康寿命】男性:72.14歳 女性:74.79歳

 平均寿命と健康寿命の差が「日常生活に制限のある期間」であり、男性:8.84年、女性:12.35年となっています。

平均寿命と健康寿命の差の画像
平均寿命と健康寿命の差

 男性で9年弱、女性で12年強の期間、日常生活に制限がある状態で生活しなくてはならないという結果になっています。健康寿命が短くなれば、この期間がさらに長くなってしまいます。

生活習慣病の予防と健康寿命

生活習慣病とは?

 「がん(悪性新生物)」「脳血管障害(脳梗塞や脳出血など)」「心臓の疾患」「肺炎「など、生活習慣が深く関与する病気のことを”生活習慣病”といいます。

 生活習慣病を予防するには、「運動」「食生活」「喫煙」「飲酒」などの生活習慣の見直し・改善が重要になります。

生活習慣病の予防

 生活習慣病の予防には、日々の生活において以下の点に気をつける必要があります。

生活習慣病予防のための具体例
  • 「適切な運動習慣」を身につける。
  • 「栄養バランスに配慮した食生活」を心がける。
  • 「定期的な健康診断」を受ける。
  • 「禁煙」する。

健康寿命を短くする原因と対策

 健康寿命を短くする要因は以下のようなものがあります。

健康寿命を短くする原因
  • 脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)
  • 認知症
  • 加齢による身体機能の低下
  • 転倒による骨折
  • 腰痛や変形性関節症 など

 これらの原因となるリスクを少しでも軽減させるためには、”適度な運動”が効果的です。

適度な運動が与える効果
  • 血流改善による新陳代謝の促進
  • 中性脂肪、血糖値、尿酸値などの改善
  • 心肺機能の強化
  • 高血圧の改善
  • 健康的な生活リズムの獲得
  • ストレス軽減

フレイルのセルフチェック

フレイルとは?

 加齢や病気によって、心身の機能が徐々に衰えていき脆弱(ぜいじゃく:ひ弱)になった状態のこと”フレイル”といいます。

フレイルのセルフチェックをしてみよう!

 上記の「筋力のセルフチェック」に加えて、日常生活動作のチェックも行ってみましょう。

 質問に対して「いいえ」の数を数えてみましょう。

日常生活チェック
  1. ほぼ同じ年齢の同性と比べて、健康に気をつけた食事を心がけていますか?
  2. 野菜料理と主菜(肉または魚)を両方とも「毎日2回以上」食べていますか?
  3. かたい食べ物(たくあんやさきいか程度)を普通に嚙み切れますか?
  4. お茶や汁物で”むせる”ことはない。
  5. 「1回30分以上」汗をかく運動を、「週に2回以上」かつ「1年以上」行っていますか?
  6. 日常生活において、歩行または歩行と同じくらいの身体活動を「1日1時間以上」行っていますか?
  7. ほぼ同じ年齢の同性と比較して、歩く速度が速いと思いますか?
  8. 昨年と比べて”外出の回数”が減っていない。
  9. 1日1回以上、誰かと一緒に食事をしますか?
  10. 自分が活気にあふれていると思いますか?
  11. 何よりもまず、物忘れが気になりますか?

 「いいえ」の数が増えるごとにフレイルの可能性が高くなります。

おすすめの運動5選

運動前に知っておくべきこと

 適切な運動量は個人によって異なります。過度な運動は、体の他の場所に負担をかけたり、支障をきたす可能性があります。まずは、軽めの運動から始めてみましょう。

 また、持病や痛みのある人は、主治医やリハビリスタッフへ相談してから行いましょう。

運動を行うときの注意点
  • 無理にのばしたり、反動をつけて行わない。
  • 息をこらえて行わない。
  • 痛みが出たり、痛みが増す時は、速やかに中止する。

おすすめの運動

 運動の効果に年齢は関係ありません。

 一般的に、老化は右下がりに進むと考えられてきましたが、亡くなる少し前まではからだの機能が比較的維持されていることがわかってきました。運動によって、頭やからだの老化を抑えられるだけでなく、若返ることさえ可能になることがわかっています。

 生活習慣病の予防には、「有酸素運動」「筋力強化運動」をあわせて実施することが推奨されています。

有酸素運動
ウォーキング

【時間】:10~30分
【頻度】:1日2回程度(途中で休憩を入れてもOK!)
【歩く速さの目安】:「少し息が早くなる程度」「人と楽に会話ができる程度」「やや汗ばみ」「爽快感を味わえる程度」が最適。

ウォーキングの画像
ウォーキング
筋力強化運動
ひざ伸ばし

【効果】:「椅子からの立ち上がり」「歩行」「階段の上り下り」に必要な太ももの前の筋肉を強化します。

  • 片足ずつ、ゆっくりひざをのばします。
  • そのまま5秒止めて、おろします。
ひざ伸ばしの画像
ひざ伸ばし
ハーフスクワット

【効果】:足腰の筋肉を強くし、立位バランスを高め、立ち上がりや階段の上り下りが楽になります。

  • 椅子の背もたれなどにつかまります。
  • 両方の足を一緒に、ゆっくと30度ほど曲げます。
  • そのまま5秒止めて、ゆっくりのばします。
ハーフスクワットの画像
ハーフスクワット
足のうしろあげ

【効果】:正しい姿勢やバランスの保持に必要な、背中からふともも後側の筋肉を強化します。

  • 椅子の背もたれなどにつかまります。
  • 片方の足をゆっくりと後ろに、ひざが直角になるまであげます。
  • そのまま5秒止めてゆっくりおろします。
足のうしろあげの画像
足のうしろあげ
足の外開き

【効果】:歩行や立位バランスの保持に必要な、腰から太もも外側の筋肉を強化します。

  • 椅子の背もたれなどにつかまります。
  • 片方の足をゆっくりと外側へ30度ほど広げます。
  • そのまま5秒止めて、ゆっくりおろします。
足の外開きの画像
足の外開き

 少しの運動でも継続することが大切です。長く続けられる運動を取り入れましょう。

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